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仙台地方裁判所 平成4年(わ)353号 判決 1993年2月12日

本店の所在地

仙台市青葉区国分町二丁目一三番一号

法人の名称

栄司観光有限会社

代表者の住居

福島市置賜町七番三号 よしいビル四〇二号

代表者の氏名

浅井宏一

本籍

栃木県小山市大字神鳥谷八五三番地

住居

同市城山町三丁目一八番八号

職業

会社役員

氏名

大垣敬次

生年月日

昭和二八年二月七日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官石橋基耀出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社栄司観光有限会社を罰金一六〇〇万円に処する。

被告人大垣敬次を懲役一年に処する。

被告人大垣敬次に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社栄司観光有限会社は、仙台市青葉区国分町二丁目一三番一号に本店を置き、飲食業等を目的とし、同所においてキャバレー「キャンパス7」等を経営する資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人大垣敬次は、被告会社の実質経営者として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人大垣は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外して仮名普通預金口座を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六二年三月一日から同六三年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三九、八〇七、二六五円あったにもかかわらず、右法人税の申告期限である昭和六三年四月三〇日までに、仙台市青葉区中央四丁目五番二号所在の所轄仙台中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度の法人税額一五、七五八、九〇〇円を免れ

第二  昭和六三年三月一から平成元年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二二、七七六、六九四円あったにもかかわらず、右法人税の申告期限である平成元年五月一日までに、前記仙台中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度の法人税額八、六〇五、九〇〇円を免れ

第三  平成元年三月一日から同二年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八〇、三九一、七二八円あったにもかかわらず、右法人税の申告期限である平成二年五月一日までに、前記仙台中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度の法人税額三二、八〇四、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

全事実につき

一  大垣敬次の検察官に対する各供述調書(三通)

一  浅井宏一の検察官に対する各供述調書

一  中嶋保の検察官に対する各供述調書

一  佐藤静夫の検察官に対する各供述調書

一  栄司観光有限会社の商業登記簿謄本

一  大蔵事務官作成の大垣敬次に対する平成三年二月一二日付(第二回)、同月一三日付(第二回及び第三回)、同月一四日付、同月一五日付、同年四月一五日付(第一回)、同月一六日付(第一回及び第二回)、同月一八日付(第一回及び第二回)、同年七月一二日付、同年九月一九日付、同年一一月二七日付(第一回及び第二回)、同月二八日付、同年一二月二六日付(第二回)、平成四年一月二七日付(第一回)、同年五月七日付、同月八日付(第一回及び第二回)各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の浅井宏一に対する平成三年二月四日付(第一回)、同月五日付、同月七日付(第二回)、同月八日付(第二回及び第三回)、同年四月一七日付(第二回)、同月一九日付、同年八月五日付、同月六日付、同月七日付(第一回)、同年一〇月二九日付、同月三〇日付、同年一一月一日付、同月二日付、平成四年一月一七日付(第一回)、同年三月九日付、同月一〇日付各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の売上調査書

一  大蔵事務官作成の期首商品棚卸高調査書

一  大蔵事務官作成の仕入高調査書

一  大蔵事務官作成の期末商品棚卸高調査書

一  大蔵事務官作成の給与手当調査書

一  大蔵事務官作成のその他一般管理費調査書

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書

一  大蔵事務官作成の貸倒損調査書

一  大蔵事務官作成の役員賞与損金不算入調査書

一  大蔵事務官作成の小林紀美子に対する平成二年一一月一九日付、同月二〇日付(第一回及び第二回)並びに平成三年五月一七日付(第一回)各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の岩本英雄、手島七雄、山田光彦及び島田芳宏(二通)に対する各質問てん末書

一  被告人大垣作成の大蔵事務官に対する平成四年五月七日付上申書

一  栄司観光有限会社代表者作成の大蔵事務官に対する平成三年一〇月二八日付、同月三一日付及び平成四年一月一七日付各上申書

判示第一事実につき

一  被告会社の自昭和六二年三月一日至同六三年二月二九日事業年度の修正申告書の謄本

一  押収してある法人税確定申告書一綴り(平成四年押第七五号の一四)

判示第二事実につき

一  被告会社の自昭和六三年三月一日至同平成元年二月二八日事業年度の修正申告書の謄本

一  押収してある法人税確定申告書一綴り(平成四年押第七五号の一五)

判示第三事実につき

一  被告会社の自平成元年三月一日至同平成二年二月二八日事業年度の修正申告書の謄本

一  押収してある法人税確定申告書一綴り(平成四年押第七五号の一六)

(法令の適用)

被告人大垣の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、右各罪の所定刑中懲役刑を選択したうえ、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

次に被告人大垣の判示各所為は、被告会社の業務に従事する同被告人が被告会社の業務に関して犯した違反行為であるから、法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項により、被告会社に対し一六〇〇万円の罰金に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 渡邊公雄)

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